Palm Programmer's Laboratory
Palm OS Programmer's Companion Volume II/1-1
1-1 Exchange Managerについて
このセクションでは、Exchange Manager を使用する前に知っておくべきコンセプトについて説明します。
- Exchange ライブラリ
- 形式的なデータオブジェクト
Exchange ライブラリ
Exchange ManagerはExchange ライブラリとの接続において動作します。各Exchange ライブラリは転送依存で、リモートデバイスとの実際の通信を行います。アプリケーションがExchange Managerをコールしたとき、Exchange Managerはリクエストを適切なExchange ライブラリにフォワードします。Exchange Managerの主な役目は、どのライブラリがどのプロトコルを実装しているか、どのアプリケーションがどの形式のデータを受け取るか、を管理することです。(図1.1参照)
図1.1 Exchange Managerを使用したオブジェクトのやりとり
PalmOSのバージョンによって、サポートされるExchange ライブラリは異なります。(表1.1参照)
表1.1 サポートされるExchange ライブラリ
Exchange ライブラリ | Palm OSバージョン |
---|---|
赤外線ライブラリ(IrDA) | Palm OS 3.0 |
ローカルExchangeライブラリ | Palm OS 4.0 |
SMS(Short Messaging System) ライブラリ | Palm OS 4.0 |
Bluetooth ライブラリ*1 | Palm OS 4.0 |
*1 Bluetooth ライブラリはPalm OS 4.0には存在しませんが、 Palm OS 4.0の出荷から間もなくライブラリの提供が計画されました。
その他のExchange ライブラリは利用可能になりました。ユーザーはPalm Powered(TM)ハンドヘルドにそれらライブラリをインストールし、ライブラリが提供する通信機能を利用することができます。
Palm OS 3.X で利用できるのは赤外線ライブラリだけであり、それは拡張できないことに注意してください。例えば、赤外線ライブラリは異なるExchangeライブラリと置き換えることができません。
形式的なデータオブジェクト
Exchange Managerは、形式的なデータオブジェクトを送受信します。形式的なデータオブジェクト(またはオブジェクト)は、バイトストリームとその内容に関する情報で構成されます。内容に関する情報は、以下のいくつかを含みます。
・クリエーターID ・MIMEデータタイプ ・ファイル名
オブジェクト自身はどのようなフォーマットでも構いませんが、できれば私的なデータ形式よりは標準化されたデータ形式がよいでしょう。表1.2は、ビルトイン Palm OS アプリケーションで受け取ることのできる標準化されたデータ形式の一覧です。
表1.2 ビルトインアプリケーションと標準データ形式
アプリケーション | データ形式 |
---|---|
アドレス帳 | vCard形式(拡張子:vcf MIME形式:text/x-vCard) |
予定表 | vCalendar形式(拡張子:vcf MIME形式:text/x-vCalendar) |
ランチャ | Palm OS データベース(拡張子:prc,pdb,oprc,pqa MIME形式:application/x-pilot および application/vnd.palm) |
ToDo | 定義なし ただし予定表からのvCalendarオブジェクトを受信可能 |
注:application/vnd.palm MIME 形式は、IANAと登録されており、 application/x-pilot MIME 形式よりも好まれる。
アプリケーションでオブジェクトを受信するためには、受信するデータの形式をExchange Managerに登録する必要があります。その方法については、「1-3 データの登録」を参照してください。表1.2にあるデータ形式でビルトインアプリケーションをオーバーライドして、それらデータ形式のデフォルトアプリケーションになることが可能です。詳しくは「デフォルトアプリケーションの設定?」を参照してください。単にデータを送信したいだけなら、登録する必要はありません。アプリケーションは表1.2の形式のデータを送信することができ、またExchange Managerは送信データを適切なアプリケーションが受信することを保証します。