Palm Programmer's Laboratory
Palm OS User Interface Guidelines/0-1
0-1 なぜガイドラインに従うのか?
ユーザーは Palm ハンドヘルドを知れば知るほど愛着を感じます。ユーザーはハンドヘルド上のアプリケーションが見慣れた方法で表示され、見慣れた方法で動作することを期待します。
本書のガイドラインに従うことで、アプリケーションのルック&フィールが他の Palm OS アプリケーションと同じになります。ユーザーはアプリケーションを素早く理解でき、あなたは友人や同僚に勧めたくなるような愛すべきアプリケーションの開発を順調に行なえるようになるでしょう。さらに特典として、アプリケーションがユーザーの期待通りに動作すればドキュメントの必要性やサポートにかかってくる電話が減るため、アプリケーション自体の開発や改善に注力することができるようになります。
ガイドラインを無視すると、ユーザーの不満と混乱を招くことになります。ユーザーはアプリケーションに合わせてくれるかもしれませんが、顧客を遠ざけるリスクを背負うことになります。売上にも影響するかもしれません。
同時に、ガイドラインは厳重な規則ではありません。ガイドラインに従わないという選択も可能ですが、それはガイドラインが何故あるのかを理解し、あらゆる条件を検討し、そしてガイドラインに従わないことの方がユーザーにとって有益であると確信できる場合だけにすべきです。
最初のうちは、正しいユーザーインタフェイスをデザインすることはアプリケーションの主要な部分よりも UI にばかり苦しめられる“時間の無駄”に感じるかもしれません。多くの開発者は UI デザインの重要性を認めますが、それでもアプリケーションが正常に動作するようになるまでは後回しにされます。しかし、正しいインタフェイスの作成に時間を使えば、長期に渡って成功を収めることができるでしょう。
ケーススタディとして、主要な競合である Pocket PC ハンドヘルドを比較対象とした Palm ハンドヘルドの成功を考えてみましょう。Palm ハンドヘルドは市場で最初のハンドヘルドではありませんでしたが、ユーザーが求めているものを提供することに注力したため、成功した最初のハンドヘルドとなりました。Palm OS はユーザーを意識してゼロからデザインされました。デザイナはユーザーがハンドヘルドで何をしたがっているかに注目し、それを機能として提供しました。それ以上の機能は、それによって全体の使用感が悪くならない場合にのみ追加されました。
これとは対照的に、Windows Pocket PC オペレーティングシステムの最初のバージョンは、ポケットサイズの領域にデスクトップWindowsシステムの機能をできるだけ詰め込むようにデザインされました。結果としてユーザーの使用感は、デザイナが何度も設計をやり直さなければならないほど否定的なものでした。
Windows Pocket PC ハンドヘルドは市場に投入されて3年以上経ちますが、受け入れられるようになって来たのは最近のデバイスからです。その間、200 万台の Pocket PC ハンドヘルドに対して 1,750 万台の Palm ハンドヘルドが販売されています(図1を参照)。
図 1 Palm と Pocket PC の販売台数
Source: Dataquest estimate
最初の時点からより良い UI をデザインすれば、有利なスタートを切れることがわかると思います。