Palm Programmer's Laboratory
Palm OS User Interface Guidelines/4-2
4-2 コマンドボタン
コマンドボタン(図 4.4 参照)は、丸みのある四角形で、コマンドを実行するボタンです。コマンドボタンは、フォームの下部に一列に並べます。
図 4.4 コマンドボタンの配置
表 4.1 コマンドボタンの詳細
指標 | 値 |
---|---|
幅 | 36 あるいはラベル幅 + 10 |
高さ | 12 あるいは標準フォント以外の場合フォントの高さ + 3 |
上端 | 147(モードレスフォーム) あるいは 160 - ボタンの高さ - 1 フォームの高さ - ボタンの高さ - 5(モーダルフォーム) |
最初のボタン の左端(*1) |
1(モードレスフォーム) 5(モーダルフォーム) |
N 番目のボタン の左端(*1) |
N-1 番目のボタンの左端 + N-1 番目のボタンの幅 + 6 |
境界線 | 1 ピクセルの丸みのある四角形 |
内容 | コマンドを簡潔に説明するテキストまたは画像 |
*1. 79 ページの“ボタンはフォーム下部に左揃えで”を参照
システムが定める挙動
ユーザーはペンや指を用いて、ボタンを1回タップすることでボタンのコマンドを実行します。その際、Palm OS はボタンが押されている間ボタンをハイライト表示します。Palm OS は、ペンや指を離す前にドラッグしてボタン領域の外に出した場合、コマンドが実行されないことを保証します。
ルック&フィール
コマンドボタンの挙動や外観については、以下のガイドラインに従って下さい。
ダブルタップを要求しない
パワーユーザー向けの機能だとしても、コマンドボタンに対するダブルタップは要求しないで下さい。ダブルタップはテキストフィールドだけにします。
ボタンはフォーム下部に左揃えで
コマンドボタンはフォーム下部にあるべきです。ユーザーはほとんどの場合入力エリアで作業していることを忘れないで下さい。ユーザーはたびたびコマンドボタンをタップしようとするため、コマンドボタンはユーザーのペンにもっとも近くなるよう、画面下部に配置するのがベストなのです。
モードレスフォームでは、ボタンやその他全ての UI コントロールは画面の左端から始まります(図 4.5 参照)。
図 4.5 モードレスフォーム上のコマンドボタン
モーダルフォームでは、ボタンの境界線とフォームの境界が重なり合わないように、フォームの隅とボタンの間にスペースを空けなければなりません(図 4.6 参照)。
図 4.6 モーダルフォーム上のコマンドボタン
オブジェクトには、境界の外側に境界線が引かれます。このことは、ボタンをフォームの左端に揃える場合、ボタンをピクセル1から始めなければならないことを意味します。この場合、境界線はピクセル0に描画されます。同様に、ボタン同士の間を4ピクセル離すためには、左側のボタンの左端と幅に6を加える必要があります。6を加えることで、左側のボタンの右境界と右側のボタンの左境界に1ピクセルの境界線を描画できます。表 4.1 を参照して下さい。
簡潔な名前にする
コマンドボタンの名前は、簡潔でコマンドボタンのすることを明確に伝達するものであるべきです。ユーザーはアプリケーションの基本的なインターフェースを5分で習得できなければならないことを思い出して下さい。 試してみることで学んでいるような時間はないのです。ユーザーが即座にボタンを認識し、その目的を理解できるよう、標準的なコマンド名を可能な限り使うのがベストです。組込みのアプリケーションに見られるコマンドボタンのいくつかを表 4.2 に示します。
表 4.2 一般的なコマンドボタンの名前
名前 | 最小幅 | 説明 |
---|---|---|
OK | 23 | 操作の確認をし、元のフォームに戻る。 |
Cancel | 36 | 現在のフォームを変更前の設定に戻し、元のフォームに戻る。 |
Delete | 37 | レコードを削除する。 |
Details... | 44 | 詳細ダイアログを表示する。 |
Done | 31 | 元のフォームに戻る。 |
Edit | 25 | 既存のレコードを編集する。 |
New | 27 | 新しいレコードを作成する。 |
Note | 30 | レコードにノートを追加する。 |
操作が完了するまでに追加の情報を入力しなければならない場合、ボタン名に省略記号(...)を使用します。一般に、ボタンがアラートや About、プログレス以外のダイアログを表示する場合、その名前には省略記号をつけるべきです。画面上に空きスペースがない場合、省略記号は省略することができます。
- TIP
- 省略記号の文字を使う変わりに3つのピリオドを使用して下さい。省略記号の文字は全てのフォントで使用できるとは限りません。
テキストのかわりに、ボタンではグラフィックを使用することもできます(図 4.7 参照)。画像を小さなものにしておけば、テキストボタンの場合よりも多くのグラフィックボタンを画面に収めることができます。ただし、テキストと同様に、グラフィックはボタンがすることを即座に伝えられなければなりません。デスクトップでは、アプリケーションデザイナはボタンがすることをユーザーに伝えるためにしばしばツールチップ機能に頼ります。(ユーザーがマウスポインタをボタンの上に合わせると、ボタンを説明するテキストのボックスがポップアップするのです。)このような機能は Palm OS にはありませんから、ユーザーはトライ&エラーでアイコンの意味を理解しなければなりません。
図 4.7 グラフィックボタン
無効なボタンをグレーアウトしない
その状況下で使用できないことを示すためにボタンを暗くしたりグレーアウトさせたりしないで下さい。ボタンが特定のコンテキストに依存する場合、そのボタンがなぜ使用できないかを説明するアラートを表示して下さい。例えば、ToDo ではメインフォームの最下部に、選択中のタスクに適用されるボタンがあります。ユーザーがタスクを選択していない状態では、ボタンをタップするとタスクアイテムを選択する方法を説明するアラートダイアログが表示されます(図 4.8 参照)。
図 4.8 ボタンが使用できない場合のアラート
ネットワークに接続する能力など、ボタンが特定のハードウェア機能に依存する場合、フォームをオープンする前にそれらの機能をチェックし、使用できなければボタンを非表示にすることができます。
リピートボタン
ユーザーがペンで押し続けている間アクションを繰り返し実行し続けるボタンが必要なら、コマンドボタンのかわりにリピートボタンを使用します。リピートボタンの使用はコマンドボタンに比べると一般的ではありません。リピートボタンには、以下の2つの代表的な使い方があります。
- 画面をスクロールするためのスクロールボタンとして (スクロールボタンを参照)
- 値を増減させるため(図4.9参照)。
図 4.9 リピートボタン
リピートボタンは、見た目にはコマンドボタンとまったくかわりがありません。しかし、通常リピートボタンは境界線をなしにします。
ルールを破る場合
このセクションでは、コマンドボタンのガイドラインから外れる一部のアプリケーションについて言及し、ガイドラインに従わないのが適切なケースについて説明します。
フォーム上の別の場所にコマンドボタンを置く
コマンドボタンがフォーム上の特定のフィールドだけに影響する場合、そのボタンをフォーム下部でなくフィールドの隣に置くことができます。図 4.10 は、SMS メッセンジャーアプリケーションのフォームです。このフォームでは、To ボタンはアドレス帳から電話番号を検索します。このボタンを変更するフィールドの隣に置くことにより、ユーザーはこのボタンの機能を理解し易くなります。このボタンがフォーム下部にある場合、“To”というラベルはボタンを説明する名前としては不十分です。かわりに“Phone Lookup”とでもするべきでしょうが、それでもフィールドの横に置いて“To”という名前にするほど明確ではありません。
図 4.10 フォーム上の別の場所にあるコマンドボタン
この方法でコマンドボタンのガイドラインを破る場合、セレクタトリガーとモーダルフォームを組み合わせて使用することを検討して下さい。セレクタトリガーはコマンドボタンとテキストフィールドを置き換えることができます。この場合であればテキストフィールドと連絡先のリストを含むモーダルフォームを表示することができるでしょう。ユーザーは連絡先リストから電話番号を選択するか、テキストフィールドに直接電話番号を入力することができます。
SMS メッセンジャーアプリケーションに関して言えば、セレクタトリガーはユーザーに電話番号検索機能を常に使わせるという意味でやや望ましくありません。多くの人々は、電話番号を暗記している場合には電話番号検索機能をバイパスしたいかもしれません。セレクタトリガーはそのような挙動をすることができません。
このスタイルのインターフェースに関する詳細は、“コンボボックスの使用”を参照して下さい。
コマンドボタンのセンタリング
Palm OS とその組込みアプリケーションでは、About ダイアログとプログレスダイアログを除いてコマンドボタンが左寄せになっています(図 4.11 参照)。About ダイアログとプログレスダイアログでは、単一のボタンが画面の中央に配置されます。他のダイアログでは、これらのダイアログの真似をしてはいけません。一貫してボタンが左寄せになっているのが、ユーザーにとってはベストなのです。そうすれば、ユーザーは全てのボタンが一定の場所に現れることを予期することができます。単一ボタンのアラートでも、ボタンは常に左寄せになります。
図 4.11 ボタン配置の悪い例
省略記号の省略
組込みのアプリケーションでは、省略記号文字の使用には一貫性がありません。この点に関して組込みアプリケーションの真似をしないで下さい。この章で説明した省略記号文字のガイドラインに従うようにして下さい。アラート、About、プログレス以外のモーダルダイアログを表示するボタンには全て、名前に省略記号文字をつけるべきです。省略しても良いのは、スペースを確保する必要がある場合だけです。
組込みアプリケーションでは、スペースがあるにもかかわらず省略記号を省略している場合があります(図 4.12 参照)。
図 4.12 省略記号の必要なボタン
削除ボタンにおける省略記号の使用も、このプラットフォームの新規ユーザーを混乱させる可能性があります。一般に、削除コマンドはその応答として確認ダイアログを表示するだけなので、省略記号は必要ありません。しかし、PalmSource の組込みアプリケーションの多くは操作の完了に追加の情報を要求するため、削除操作に省略記号を正しく使用しているのです(図 4.13 参照)。
図 4.13 付加情報のある削除確認
標準的でない高さのボタン
Date Book のアラームダイアログは、通常よりも高さのあるボタンを使っています。これは、ユーザーができるだけ早くダイアログを閉じることができるようにするためです(図 4.14 参照)。
図 4.14 Date Book のアラームボタン
ハンドヘルドの電源がオフになっている時にこのダイアログが表示されてアラーム音が鳴るのは非常によくあることです。ユーザーはできるだけ素早くダイアログを閉じてやっていた作業を済ませたいと思っています。大きなボタンはスタイラスを取り出さなくても、事実上全てのユーザーが(つまり小さな指でなくても)“指で操作”することを可能にします。
大きなボタンは、ユーザーがスタイラスを手にしていない時に表示されがちなダイアログがあるような場合にのみ使用して下さい。ユーザーが何かの作業のためにスタイラスを手にしてしまえば、大きなボタンのアドバンテージは失われてしまいます。